Interview 01
入社したきっかけを教えてください
平成19年に新卒で職人として入社しました。
当時はまったく関係のない農業高校に通っていたのですが、卒業して就職するか、専門学校に行くかを考えてた時期に、伊沢ガラスを求人で見つけました。建築についてはよく分かっていなかったんですが、インテリアコーディネーターをやりたいなという気持ちがありました。中学生の頃は部屋の模様替えを月に一回くらいのペースでやっていて、実家もリフォーム関係の仕事をしていたので、とにかく部屋づくりを楽しんでいました。
ガラスを扱う仕事って特殊というか、誰もなかなかやらない、選ばないイメージがありましたし建築に近いかたちで関われると思い選んだ感じです。

Interview 02
業務内容について教えてください
サッシ・ガラスの取り付けがメインで、本当に何でもやります。小さな修理だと1万円くらいのものから、市役所や体育館などの公共物件までいろいろありますね。
現場の規模によって違いますが、基本的に一人でできる仕事じゃないので、最低でも2〜3人は必要で、多いときは4人が半年入りっぱなしということもあります。最低でも一ヶ月はかかります。
取り扱う商品が多く、メーカーもいろいろあるので、外注業者さんに来てもらうこともあり、そうした管理もします。自社だけでなく他社とのコミュニケーションや打ち合わせが必要で、そこまでが「現場管理」という感じです。

Interview 03
独り立ちにはどれくらい掛かるのでしょうか
最初は、職人の先輩について見て覚える時代でした。20年くらい前はかなり厳しくて、今みたいに優しく教えてもらう感じではなかったです。
入社5年ぐらいは見てるだけ。なにか触ったら怒られる、そんな感じでしたね。片付けしたり、ゴミ出しや掃除したり…逆にそういった経験がよかったのかもしれないですが、「ついて行っても仕事はできない」。当時はそれが悔しい思いでした。
(独り立ちというのを)自分で決められることではない、じゃないですか。ただ社長の代が変わったことで、いろいろ任せてもらえるようになりました。今の社長は「どんどんやって覚えて」というスタイルなので、少しずつではありますが、ある程度の工場や現場を任せてもらえるようになり、そこでだいぶ覚えていった感じです。とにかくいろんな人を見て「これはいい、これは悪い」というのを自分で判断してきました。それを自分でいい方を選んできたからこそ、今の評価に繋がったんだと思います。
現場を管理できるようになるまでは10年くらいかかるのかなと思います。独り立ちとして大体7年ぐらい、一級資格を取るにも7年の実務経験が必要ですし、そこで自信をつけていく感じですね。

Interview 04
副部長としての現場管理を教えてください
4年くらい前からですね。管理自体はもともとやってましたが、今はもっと引いた目線で全体を見る感じです。
自分の現場だけでなく、他の現場も見ていますし、無理にずっと出ている子は休ませてあげたり。教えていると「違う、違う」と口出しして自分でやりたくなっても、そこを我慢できるかが最近の課題ですね。今はプレーヤーというより管理する側の意識でいないと、下の子たちは育たないので。
現場では安全管理を徹底して伝えています。命や手が一瞬でなくなってしまう恐れもあるので施工よりもまず安全。ガラスは目に見えて危ない分、普通の職人さんより事故のリスクが高いですから「ヘルメットを確実に着用しよう」など社内でルールを決めて、朝に会議で注意点を共有したり、事故があればその情報をみんなで回したりしています。
現場は工事部に一任されていて、部長と自分で全体を捌いていきます。ですので社長まで情報が行くのはよほどの事故の時です。自分より上の先輩がいる中で、副部長になったので、最初はプレッシャーもありましたけど、認めてもらえているのは嬉しい部分でもあります。
あと、何年か前に車のディーラーに4mのガラスを入れる当日、運んできたトラックがガラスを倒してしまい30枚ぐらいバキバキに割れちゃって…。その日に絶対入れなくちゃいけないときだった時だったので、流石にヒヤヒヤしました。メーカーに謝られても現場は待ってくれない――連絡を受けるのも急いで調整するのも自分で、泣きたいぐらいでしたけど、メーカーに急いで手配してなんとか間に合わせました。
Interview 05
現場での課題はありますか
自分は教育担当でもあるんですが、つきっきりになってしまうので、新人の子が他の職人との交流が取れないんですよ。昔は教育者という存在もいなかったので、“みんなで育てる”っていう雰囲気があったんですけど、今は“二人の会社”みたいになっちゃうんです。教えている立場なので色々分かるんですけど、教えてない人は「そっちで新人見てるから…」ってなりがちなんです。“みんなで育てる”意識を付けた環境にしていかないとやはりダメですね。
新人の子には、100教えようとしてもなかなか難しいので、無理のない範囲で少しずつ。世代間のギャップもあって、職人を育てるというより“一人の社会人”を育ててるように感じます。大切に育ててる分、早く戦力になってほしいという思いもありますし…親として「自分の子供を見てる」ような感覚ですね。いろいろ言ってはいますが“安全に、楽しくやって楽しく稼いでほしい”というのが第一です。
Interview 06
地域への貢献を意識されたことはありますか
お困りごとプラスアルファで、修理もやるけど「他に何か困ることありますか」って聞いたり、電球切れたんですけど…と頼まれたら「全然いいですよ」って対応したり。お話しながら次の仕事に繋がることもあるかもしれません。
昔から“行く前より綺麗にする”という意識で掃除もしますし、関係ないゴミでもまとめて捨てて、お客様に気持ちよくなってもらう。だいたい短いと1日、多いと3日ぐらいですけど、お茶を出してくださる方も多いですし、昼時だと一緒にお昼食べてお話したり。ときにはおじいちゃん、おばあちゃんと作業終了後も1時間ぐらい話してると、俺は何しに来たんだろって(笑)。まぁ自分だけかもしれませんが、そういうのも仕事の一部かなと。
周辺地域では「ガラスといえば」として知ってもらえている部分があるので、より多くの人に知ってもらう活動を今やっているところですね。
Interview 07
成長を実感したときと今後の目標を教えてください
何年か前に自分の管理してた現場の物件で会社として表彰されました。東京の準大手のゼネコンさんで。施工品質はもちろん、安全管理とかトータルで評価されました。目標にもしてたし、やってきたことは間違っていなかったと実感できました。
今年も資格取得を予定していて、自信に繋がりますし、自分の戦いではあるけれど、自分の努力が会社にとってプラスになればいいと思っています。強制はされませんが、自分のやる気で頑張って取ったほうが達成感も大きいですよね。
今後、知名度が上がれば上がるほど、こっち(現場)はさらに努力しないといけない。そのぶん喜んでもらえれば、自分たちの幸せに繋がる。そういう流れでやっていきたいですね。
Interview 08
伊沢ガラスを志望している方にメッセージをお願いします
何事にも興味を持ってもらえるかですね。やっぱり興味がないと覚えようって意識にならないので、そこを閉ざさないでほしい。後は健康で普通に出社して家に無事に帰る。当たり前のことですけど現場では重量物を扱うことも多いのでがまず、体が第一です。
あまり「こうやりなさい」って言わない会社なので、自分が思う親切で「困った」を解決するような行動を選んでもらえればいいのかな、と。ある程度できるようになったとき自分で考えて動けるようになるので、その人のそれぞれの良さがきっと出ると思います。

技術と人間力を大切に繋ぐ
次の世代に残せる現場管理を